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Trivia
Brew by Numbers
数値で、
淹れる。

プロが何を測っているか。SCA Golden Cup の数値根拠から、家庭でできる科学的アプローチまで。

  1. 01TDS と抽出収率(SCA Golden Cup)
  2. 02粒度分布と細粉の影響
  3. 03水質の硬度・ミネラル
  4. 04蒸らし時間 30 秒の科学的根拠
  5. 05抽出温度 ± 5℃ の味への影響実験
Bonus · 01 · Numbers

「美味しい」には、
数値の正解がある。

SCA Golden Cup Standard.

コーヒーには「正解の濃さ」があります。SCA(Specialty Coffee Association)が定める「Golden Cup Standard」がそれ。

2 つの数値

TDS(Total Dissolved Solids)= 1.15〜1.35%
あなたが飲んでいる液体のうち、コーヒー成分が占める割合。

抽出収率 = 18〜22%
使った豆の重さに対し、何 % が湯に溶け出たか。

この 2 つが両方この範囲に入ったとき、人は「美味しい」と感じやすい。低すぎる(under-extracted)と酸っぱく軽い、高すぎる(over-extracted)と渋く重い。プロは TDS メーター(家庭用 ¥15,000〜)で測ります。

家庭で目視するコツ:抽出時間 2 分 30 秒 ± 30 秒、粉量 15g に対し湯 240ml(1:16 比率)が、Golden Cup の入り口。

Trivia · 1957 年からの基準

SCA の数値基準は 1957 年 Lockhart 教授の研究が元。「Coffee Brewing Control Chart」と呼ばれる図で、TDS と収率の十字マトリクスから「ベスト」「弱い」「強い」「未抽出」「過抽出」の 5 領域を可視化。プロのカッピング会場には今でも貼ってある。

— Bonus · 1 —
Bonus · 02 · Grind

細粉が、
味を曇らせる。

Fines and your cup.

ミルで挽いた粉は、見た目が均一でも実は粒度のバラつきを持っています。プロが嫌うのは 150μm 以下の細粉(ファイン)。これが多いと、湯通りが悪く過抽出(渋み・雑味)の原因に。

  • 家庭用ハンドミルHARIO セラミックスリム等で 20〜30% の細粉
  • 電動コニカルバー¥30,000 以上のグレードで 5〜10% まで低減

「同じ豆・同じ湯温・同じレシピなのに、別店で淹れた方が美味しい」── その理由のひとつが、グラインダーの粒度分布精度です。

Tip · 茶こしハック

家庭でできる対策。茶こしで細粉を 10〜20 秒振るう。たったこれだけで雑味が抜けます。プロも自宅でやる裏技。

— Bonus · 2 —
Bonus · 03 · Water

水を変えると、
別の豆になる。

Water makes the coffee.

コーヒーの 99% は水。水の質を変えると、同じ豆が別の人格になります。鍵となるのはミネラル含有量(硬度)

  • カルシウム(Ca²⁺)苦味・甘味成分を引き出す
  • マグネシウム(Mg²⁺)酸味・フレーバー成分を引き出す
  • 重炭酸塩(HCO₃⁻)酸味を中和する(バッファ作用)

SCA 推奨水質:総硬度 50〜175 ppm、Mg²⁺ が Ca²⁺ より少し多め。日本の水道水は地域差が大きく、東京・大阪は中硬水(80〜120 ppm)、九州・東北の一部は軟水(30〜60 ppm)。

軟水酸味とフレーバー

クリアに出る。Volvic(60 ppm)が定番。

硬水苦味・コク

強調される。Evian(304 ppm)は不向き

Tip · 浄水ポット

Brita や Mavea は軟水化+塩素除去で良い影響。水道水でも、15 分汲み置きで塩素は飛びます。

— Bonus · 3 —
Bonus · 04 · Bloom

なぜ 30 秒?
CO₂ の放出曲線。

The science of the bloom.

ハンドドリップで「最初に少量の湯で 30 秒蒸らす」とよく聞きます。なぜ 30 秒?理由はCO₂ 放出の物理にあります。

焙煎豆は内部に大量の CO₂ を含んでいて、湯に触れた瞬間に爆発的に放出します。粉が泡のように膨らむ「ブルーム」がそれ。この CO₂ が残ったまま本注ぎを始めると、ガスが湯の浸透を妨げて抽出が不均一になる。

研究データ(Hendon et al. 2022)

30 秒で粉内の CO₂ の 70〜80% が抜ける。それ以降は徐々に抽出が始まる相に切り替わる。

新鮮な豆ほど膨らみが大きく、蒸らしも 40〜45 秒に伸ばすとよい。古い豆はぺたんこで、20 秒で十分。

鮮度チェック

蒸らしの膨らみが粉の高さの
2 倍以上=焙煎 1 週間以内
1.2 倍程度=3〜4 週間
膨らまない=古い・要冷凍

— Bonus · 4 —
Bonus · 05 · Temperature

湯温で、
こんなに変わる。

Temperature changes everything.

標準は湯温 93℃。これを 88℃ と 96℃ に振ると、別物が抽出されます。

88℃低温

酸・低分子フレーバー優位。軽快・酸味強い・甘み弱い

93℃標準

バランス。推奨

96℃高温

苦味・カフェイン・タンニン強。重厚・キレ

理屈:温度が上がるほど抽出される成分が増える。低分子(酸味・香り)は低温でも出るが、高分子(苦味・タンニン)は高温でないと出ない。

実験のすすめ

同じ豆・同じレシピで湯温だけ 88 / 93 / 96 で 3 杯淹れ、冷ます間に並べて飲む。自分が「一番好き」と感じた温度こそ、あなたの 1 杯の温度。

Tip · 焙煎度との対応

浅煎りは 93〜95℃ で酸味の輪郭を出す/深煎りは 88〜90℃ で苦味を丸める/冷めても美味しい一杯は 90℃ 前後が中庸。

— Bonus · 5 —
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