同じ淹れ方で、豆だけを変える。そうして浮かび上がるのが、産地と精製の個性。4 杯を並べ、舌と言葉を揃えていきましょう。
同じレシピで、産地だけを変えて飲んでみる。今月お届けしたうち、豆 A(アフリカ系)と 豆 B(中南米系)を並べて淹れます。
次は 同じ産地・違う精製。豆 C(アフリカ・ナチュラル)と豆 D(中南米・ナチュラル)を、豆 A/B と交差させて飲みます。
A / C:アフリカ × Washed vs Natural
B / D:中南米 × Washed vs Natural
Washed はクリアな酸味と個性、Natural はベリー・フルーツの甘みが立ちやすい。同じ産地でも、精製が変われば別物の顔になる。
誰かに 4 杯を並べてもらい、どれがどれかラベルなしで飲んでみる。スペシャルティ上級者でも正答率は 60% 前後。「わからなさ」も楽しみの一部です。
感じた香味を「ことば」に変える地図。中心から外に向かって、大分類 → 中分類 → 小分類と細かく分岐していきます。

① まず中心の 大分類(Fruity / Floral / Nutty-Cocoa / Sweet / Sour-Fermented / Roasted / Green-Vegetative / Spices / Other)から選ぶ
② 次に隣の環(中分類)で絞る
③ 最後に外環(小分類)で、具体的な食材名に落とす
大切なのは 「正解を当てる」 ことではなく、「自分が今、何を感じたか」を言葉にすること。迷ったら「自分の知っている食べ物に近いもの」で OK。
※ Vol. 1 実践編では、ホイールを触って拡大できる見開きページをご用意しています。
画像提供:スペシャルティコーヒー協会 — Coffee Taster’s Flavor Wheel
sca.coffee/research/coffee-tasters-flavor-wheel
Licensed under CC BY-NC-ND 4.0
一杯のコーヒーの香味は、飲んでいる間に First → Flavor → Finish の 3 つのフェーズで姿を変えます。この順で追うと、感想がずっと言語化しやすくなります。
コーヒーの要素を一度に全部感じようとすると、頭がパンクします。おすすめは酸味から。酸味はもっとも記憶と結びつきやすく、果物の具体名で捉えやすい要素です。
柑橘系|オレンジ・レモン・グレープフルーツ・ベルガモット
ベリー系|いちご・ブルーベリー・ラズベリー・カシス
核果系|桃・杏・プラム・チェリー
リンゴ系|青リンゴ・完熟リンゴ・洋梨
ワイン系|赤ワイン・発酵果実
酸味がつかめたら、次は甘み → テクスチャー → コク → 余韻を順に。1 要素 1 杯で OK。焦らず、解像度を徐々に上げていきます。
人間の舌には味蕾が 約 7,500 個、さらに上顎や喉の奥にも分布。味覚は訓練で解像度が 最大 3 倍ほど向上するとも言われる。
Vol. 1 では「焙煎度」でペアリングを考えました。Vol. 2 は、産地軸でもう一歩。香味のルーツに寄り添うお菓子・食材を並べてみましょう。
エチオピア・ケニア系の 花・柑橘・ベリーは、レモンタルト/ベリーチーズケーキ/紅茶のパウンドケーキ/ハチミツ × チーズなどフルーティなスイーツと共鳴。
コロンビア・グアテマラ・ブラジル系の ナッツ・チョコ・バランスは、生チョコ/ブラウニー/くるみのスコーン/カフェオレなど王道の甘みと相性◎。
マンデリン・PNG・バリアラビカ系の スパイス・アーシー・厚みは、シナモンロール/ジンジャーケーキ/ココナッツ菓子/タピオカなどアジアンテイストと好相性。
4 杯それぞれの記録が揃ったら、表のように横並びにしてみましょう。産地別・精製別・好き度 ── この 3 軸で俯瞰すると、自分の好みの傾向が浮かび上がります。
縦軸|A(Afr × W)/B(LA × W)/C(Afr × N)/D(LA × N)
横軸|香り・酸味・甘み・ボディ・余韻・好き度
各項目を 1〜5 の 5 段階で記入。数字より、「記憶したキーワード」を書き添えるのが、後で見返す楽しみに。
どの傾向も「正解」です。あなたの傾向がわかった瞬間、次にお店で豆を選ぶとき、迷わなくなります。
今でこそ浅煎りの花のような香りが大好きですが、コーヒーを学び始めた頃の僕は、深煎りしか受けつけなかった。
浅煎りを「すっぱい・コーヒーじゃない」と感じていた時期が、長くありました。深くてビターで、苦味の向こうにカラメルの甘さがある ── それが 「コーヒー」 の像として、舌の中に固定されていた。
転機は、あるロースターで出された エチオピア・イルガチェフェのナチュラル。冷めかけた一杯を一口含んだ瞬間、「これ、コーヒー?」と声が漏れた。ジャスミンと桃とオレンジとベリーが同居していた。
あの日から僕の味覚は、一段ずつ開いていった。浅煎りの方向に広がり、やがて中煎りの甘さ、深煎りの複雑さも、それぞれ別の魅力として聴けるようになった。
味覚は変わります。変わっていい。今の「好き」を否定する必要はなく、次の「好き」を怖がらずに迎える── それだけで、コーヒーという飲み物は、一生の友人になってくれます。
味の印象は、驚くほどすぐに忘れてしまいます。「なぜ美味しかったのか」は、翌朝には曖昧になっている。人間の記憶の仕組みそのものです。
だから、記録します。豆の種類、産地、精製、焙煎度、そして 感じたこと一言。「ベリーが強い」「昨日の豆より重い」── そのくらい素朴な言葉で十分。
記録は、Beans. App に任せられます。QR を読み込んで、4 杯を数タップで残すだけ。3 ヶ月の変化グラフにしてくれます。


Beans. Coffee School は、毎月 1 回、教材と旬の豆が届く定期便型のスクール。自宅にいながら、3 ヶ月で 「自分の一杯」 に出会うプログラムです。
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産地と精製で、味がこんなに変わる。それを知ったあなたが、最終章で出会うのが 焙煎度という 3 つ目の変数。
第 3 回は、焙煎・水・器具を掘り下げ、自分だけのレシピカードにまとめていきます。3 ヶ月の旅の、いちばん主観的で、いちばん楽しい章。

— End of Vol. 2 —