- ドリッパー・サーバー:使用後すぐ水ですすぐ(洗剤不要)
- カップ:ぬるま湯+柔らかいスポンジで内側を一拭き
- ケトル:内側の水滴を拭き取り、乾かす
- ドリッパー:中性洗剤で油分を落とす
- スケール:周囲の粉・水気を乾拭き
- ミル外側:ブラシで微粉を払う
- ミル内部:分解 → ブラシで乾拭き(水洗い NG)
- ケトル内部:クエン酸でカルキ・水垢落とし
- カップ:内側の茶渋を重曹で落とす
基本レシピ・道具の素材・水・カップ。11 ステップで一杯を完成させたあと、変数を自分で動かしてみる。淹れ手が操作できる味の幅を、この 1 ヶ月で掴みます。
レシピは、驚くほどシンプルです。粉 15g、湯 240ml、湯温 93℃、4 回に分けて注ぐ。守るのはこれだけ。抽出時間は 2 分 30 秒ほど。
このレシピは、坂本さんが数え切れないほど試行錯誤を重ねて辿り着いた「家庭で再現できる、失敗しにくい黄金比」。最初は 1:13(粉 18g/湯 234ml) で濃く淹れたり、湯温 96℃ でキレを出そうとしたり、回り道をたくさん。最終的に「家のキッチンで誰でも・毎回同じ味」に落ち着いたのが、1:16・93℃・4 投のいまの形。プロのような派手なテクニックは要りません。
まずは 1 回目は動画を観るだけ、2 回目は動画を止めずにやってみる、3 回目からは自分のリズムで。これが、このスクールの歩み方です。
通しで観られる完全版。各 STEP のページでは、この動画の該当シーンだけを 3〜5 秒ループで埋め込んでいます。
コーヒーの淹れ方は、世界中に多様にあります。この 3 ヶ月の講座では ハンドドリップ一本に絞ります。理由は 3 つ。
① 家庭で最も普及していて続けやすい。道具は揃えやすく、場所もとらず、毎日でも淹れられます。
② 「変数の扱い方」が学べる。挽き目・湯温・注ぎ方・時間 ── この 4 つをコントロールする技は、他のどの淹れ方にも応用できる土台に。
③ 豆の個性がもっとも素直に出る。ペーパーフィルターが油分と微粉を吸着し、豆の香り・酸味・甘み・後味が澄んで出てきます。
ハンドドリップは、コーヒーの淹れ方の「母語」のような存在です。
科学的な観点では、淹れ方は大きく 透過法・浸漬法・加圧法の 3 つ。ハンドドリップは 透過法の王道。澄んだ仕上がりで、豆の個性がもっとも素直に出ます。
粉に湯を通過させる。紙が油分と微粉を吸着し、澄んだクリーンな仕上がり。
粉を湯に浸す。油分も残り コク・厚み・再現性に優れる。
9 気圧で 20〜30 秒。クレマが立ち、成分が凝縮。
ドリッパーは素材で味が変わります。鍵は熱容量と熱伝導率。初めての 1 本は プラスチック製の HARIO V60が安定。
コーヒーは液体としてみれば約 99%(重量比)が水。日本の水道水はほぼ軟水寄りで、蛇口からすでに理想に近い条件が出ています。
関東約 60mg/L、関西 40〜80mg/L。世界的にもコーヒーに理想的。酸味と甘みが素直に出る。
ミネラルの影響でコクとボディが強調される。深煎りと相性が良い。
ミネラル豊富で過抽出の苦味になりやすい。コーヒー用としては非推奨。
同じコーヒーでも、飲み口の厚さ・形・素材で印象は変わります。浅煎り → 広口薄口、深煎り → 直線厚口が相性◎。
気に入ったら同じカップを 2 個買うのがおすすめ。飲み比べにも、来客時にも。
最初のハードルが、豆の量。1g の違いで抽出濃度は 1% 以上変動します。計量スプーンだけだと ±2〜3g のブレは普通。
中煎り・深煎りは 15g、浅煎りは 15.5〜16.5g。焙煎が深いほど豆の水分が飛んで軽くなるため、浅煎りは 1g ほど多めに。
Tip · 動画 0:08〜 スプーン山盛り 1 杯で約 12g、すり切りで約 10gが目安。ただし豆のサイズで大きくブレるので、スケール計量は習慣化を推奨。3 回やれば 10 秒で終わる作業に。
豆を粉にするタイミングは、淹れる直前が鉄則。挽いた瞬間に表面積が数百倍に広がり、香り成分が爆発的に揮発し始めます。15 分放置で香りの 30% 以上が失われるという研究も。
ペーパードリップの標準は中細挽き〜中挽き。砂より少し粗く、グラニュー糖より細かいくらい。手挽きミルなら15〜20 回転。
「中挽き」と言われても、最初はどの粗さが正解か分からない。粉の見た目で粒度を確認できる目安表です。

ザラメ糖ほど。フレンチプレス向き。

酸味・甘み・コクのバランスがとりやすく、軽やかに。

グラニュー糖ほど。もっとも標準的。◉ ペーパードリップ標準

サラサラ。ペーパードリップでコクを出したい時。

小麦粉に近い。エスプレッソ向け。
変数は 1 つずつ 挽き目・湯温・蒸らし時間 ── 複数を一度に変えると、何が効いたか分からなくなる。1 回の抽出で 1 つだけ動かすのが上達の近道。
理想の湯温は 90〜93℃。沸騰させた湯をケトルに移し、1〜2 分そのまま置くだけで、ちょうどこの温度域に着地します。
高すぎる湯温(95℃〜)は苦味と雑味、低すぎる湯温(85℃以下)は成分が引き出されず薄く。湯温 1℃ の差で、味の印象が変わります。
ケトルは細口(グースネック)が断然使いやすい。湯の流量を指先でコントロールできます。
Tip · 動画 0:36〜 沸騰から 1 分待つだけで、97℃ → 92℃あたりまで自然に下がる。温度計なしでも再現可能。
ペーパーフィルターは、縦と底の接着部を互い違いに折って、ドリッパーの形に沿わせます。縦を手前、底を奥、という順。
折り終えたフィルターをドリッパーに入れたら、指で内側を軽く押さえ、円錐の面に沿わせる。ここが浮いていると、お湯が紙の外を伝って落ち(チャネリング)、味が薄まります。
Tip · 動画 0:41〜 覚え方は「縦 → 手前、底 → 奥」。1 回覚えれば一生忘れません。
セットしたフィルターに、湯をゆっくり回しかけて紙全体を濡らします。目的は 2 つ。① 紙の匂いを落とす、② ドリッパーとサーバーを予熱する。
注いだ湯はそのままサーバーに落とし、サーバーからカップに移し、カップも温めてから捨てます。一気に 3 カ所を温めると、抽出温度の安定が段違い。
温まったドリッパーに、挽きたての粉を投入。このとき、粉の表面を水平にならすのが意外なコツ。ドリッパーを軽く揺するか、指で縁を叩くと自然に平らに。
表面が斜めだと、注湯時に湯が低い方に流れてしまい、一部は過抽出、一部は未抽出という不均一な味に。
Tip · 動画 1:02〜 粉をドリッパーに入れたら、軽くトントンと 3 回ほど側面を叩く。これだけで表面が水平になり、抽出ムラが減ります。
ついに抽出開始。タイマー 0:00 スタート、60ml のお湯を粉全体に注ぎます。注ぐ位置は中心から外側へ。
注湯後すぐに、スプーンで粉を下から上に持ち上げるイメージで 3 回ほど攪拌。ハンドドリップの「隠し技」。粉とお湯を均一に混ぜ、全粒から同時に抽出をスタートさせます。
攪拌後は30〜35 秒の蒸らし。モコモコと膨らむ泡は、焙煎から 1〜2 週間の新鮮な豆のサイン。
Tip · 動画 1:30〜 攪拌は 2014 年頃から一部の有名バリスタが取り入れ、広がった技法。家庭で安定した味を出すなら「する派」が有利。
蒸らしが 30〜35 秒経ったら、すぐ 2 投目。タイマー 0:35〜0:40、累計 120ml(+60ml)。
ドリッパーの中心を起点に、「の」の字を描くように細く注ぎます。中心から外へ、また中心へ戻る連続した動きで、粉のドームを崩さず均一に。
注ぐ範囲は、500 円玉くらいの円の内側。外周に直接かかると「チャネリング」が起きて、味が薄まります。
タイマー 1:15〜1:20で 3 投目。累計 180ml(+60ml)。ここからは味の中核部分。コーヒーの「コク」「甘み」「厚み」が出てくる時間帯。
注ぎ方は 2 投目と同じ「の」の字。少しだけ太く、テンポよく。
上面の泡は白→ベージュ→薄茶と色が変わっていきます。ベージュ〜薄茶になったら抽出の後半に入った合図。
Tip · 動画 2:21〜 3 投目は「味の中核」。1 投目で抽出スタート、2 投目で量、3 投目でコクと厚み。注ぐペースで味の骨格が決まる、いちばん重要な注湯。
タイマー 1:55〜2:00で最後の 4 投目。累計 240ml(+60ml)、最終目標に到達。
最後の注ぎは軽く・スッと。味の輪郭を整える役目。ここで過度に注ぎすぎると、後半の薄い成分が多く入り、味がぼやける原因に。
注ぎ終わったら、ドリッパーの中のお湯が自然に落ちきるのを待ちます。30〜40 秒。何もせずに見守るのが正解。
お湯が落ち切ったら、いよいよ仕上げ。意外とやることが多いのです。
① ドリッパーを外す ── 完全に落ち切ったら即。「最後の数滴を落とさない」派も正解。
② サーバー内の濃度差をならす ── 上が薄く下が濃い。スプーンで軽くかき混ぜるか、軽くゆする。
③ カップを予熱する ── 冷たいカップに注ぐと一口目で温度が 5〜8℃ 下がる。
④ 香りを嗅ぐ ── カップを鼻に近づけ、立ち上る香りを 2〜3 秒。
⑤ 温度変化で味が変わる ── 65℃ では香り、55℃ で甘み、45℃ で酸。1 杯の中で複数の表情を楽しめます。
ブラックの一杯を淹れられるようになったら、次はアレンジの世界へ。コーヒーは、ミルクと合わせるだけで表情が一変する。
アレンジは「手抜き」ではなく、素材の力を引き出す応用。ブラックでは尖って感じる酸味が、ミルクと出会うと「まろやかな甘み」に変わります。
コーヒー豆はデリケート。空気に触れ続けると、1 週間で香りが 30%、1 ヶ月で 70% 失われるという研究も。
焙煎直後は二酸化炭素が多く味が安定しません。焙煎から 1〜2 週間後が飲み頃、そこから 4 週間以内に使い切るのが理想。
① 空気(酸素)は酸化の主犯。密閉容器が鉄則。
② 光は成分を分解。遮光容器か暗い戸棚へ。
③ 高温は化学反応を加速。20〜25℃の常温が理想。
④ 湿気は最も気をつけるべき敵。湿度 60% 以下。
Tip · バルブ付き袋 豆を「バルブ付きの袋」で買えば、袋自体が優れた保存容器。袋内のガスは出て、外の空気は入らない一方向弁。新品の豆ほど二酸化炭素が多く、「ぷしゅっ」と音が出ることも。新鮮さの証。
コーヒーと食べ物の合わせ方には、「共鳴」と「対比」の 2 つのアプローチがあります。どちらも、身近な食べ物から試せます。
共鳴(エコー)は似た味を重ねる── 浅煎りのベリー系 × フルーツタルトなど。対比(コントラスト)は反対の味で引き立て合う── 深煎りの苦さ × ガトーショコラなど。
共鳴|華やかな酸味とフルーツの甘酸っぱさが重なる。
レモンタルト・ベリーケーキ・フルーツサンド・シトラス系ゼリー。
万能|バランス × 香ばしさ。
クッキー・マドレーヌ・パウンドケーキ・クロワッサン・バナナブレッド。
対比|苦味と甘み、脂肪分が引き立て合う。
ガトーショコラ・チーズケーキ・アイスクリーム・ミルクプリン。
中浅煎りが◎|バタートースト、グラノーラ、ヨーグルトと合わせて、酸味で目を覚ます朝の一杯。
中煎りが◎|サンドイッチ、キッシュ、軽食系ランチの定番。食事の邪魔をしない万能ポジション。
深煎りが◎|チョコレート、ナッツ、ブルーチーズなど夜のお供に。ウィスキー代わりにも。
※ 産地別ペアリングは Vol. 2、焙煎度を掘り下げたペアリングは Vol. 3 で詳しく扱います。
初めて淹れたコーヒーが「なんか違う」時。失敗かどうか分からない状態も、立派な学びの一歩です。
大事なのは、1 回の抽出で 1 つの変数だけを変えること。挽き目も湯温も抽出時間も一度に変えると、何が効いたのか分からなくなります。
毎日使う道具は、少しずつ油分と微粉が溜まります。これが酸化すると、淹れたコーヒーに古い油のようなエグ味が移る。
「プロは、味の 9 割は道具のコンディションで決まる」とも。淹れ終わったらすぐに水洗い、これだけで 8 割 OK。
ミルだけは要注意。水洗い厳禁(内部が錆びる)。ブラシで粉を払う、分解できるタイプは月 1 回内部を乾拭き。
第 1 回、おつかれさまでした。ハンドドリップの基本動作は、もうあなたの手に入っているはずです。
次の 第 2 回・第 3 回では、色々な産地・精製・焙煎度の豆をお届けします。同じ淹れ方で豆を変え、一杯の印象がどう変わるかを体感します。
だからこそ、次回までに淹れ方の精度を、もう一段あげておいてほしい。今回の豆を数回繰り返し、動きを手に馴染ませておいてください。
一口含んだら、他の要素は無理に意識せず、酸味だけに集中。
それは柑橘(オレンジ・レモン)のような酸味? それともベリー(いちご・ブルーベリー)のような? 果物の味を思い出しながら照らし合わせるのがコツ。
同じレシピで 3 回。3 回目には手の動きと味の結びつきが見えてきます。頭で淹れる → 手で淹れるへ。
酸味の輪郭がつかめたら、次は甘み → テクスチャー → コク → 余韻。一つずつ順番に。
焙煎日入り・バルブ付きの豆なら十分。色々な産地を試すこと自体が、第 2 回への最高の予習。
淹れたての一杯を前に、すぐに「酸味が」「苦味が」と分析を始める必要はありません。まず、一口。
「あ、美味しい」「なんか好きかも」「思ってたのと違う」── どんな感想でも構いません。その瞬間の素直な印象を、自分の中にしまっておくこと。それが、あとで「味覚カルテ」の土台になります。
感じた香味を「ことば」に変える地図。中心から外に向かって、大分類 → 中分類 → 小分類と細かく分岐していきます。

① まず中心の 大分類(Fruity / Floral / Nutty-Cocoa / Sweet / Sour-Fermented / Roasted / Green-Vegetative / Spices / Other)から選ぶ
② 次に隣の環(中分類)で絞る
③ 最後に外環(小分類)で、具体的な食材名に落とす
大切なのは 「正解を当てる」 ことではなく、「自分が今、何を感じたか」を言葉にすること。迷ったら「自分の知っている食べ物に近いもの」で OK。
画像提供:スペシャルティコーヒー協会 — Coffee Taster’s Flavor Wheel
sca.coffee/research/coffee-tasters-flavor-wheel
Licensed under Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International (CC BY-NC-ND 4.0)
味の印象は、驚くほどすぐに忘れてしまいます。「なぜ美味しかったのか」は、翌朝には曖昧になっている。人間の記憶の仕組みそのものです。
だから、記録します。豆の種類、焙煎度、挽き目、湯温、そして 感じたこと一言。「酸っぱいけど爽やか」「昨日よりまろやか」── そのくらい素朴な言葉で十分。
記録は、Beans. App に任せられます。QR を読み込んで、今日の一杯を数タップで残すだけ。3 ヶ月の変化グラフにしてくれます。


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同じ「コーヒー」という飲み物なのに、産地が違うと、味はまるで別物になる。
第 2 回は、「産地」と「精製方法」という 2 つの変数を、実際に飲み比べて体感します。アフリカと中南米。ウォッシュドとナチュラル。その違いが、あなたの舌にしっかり届くはずです。

— End of Vol. 1 —